Aに雇用されているBが、勤務中にA所有の乗用車を運転し、営業活動のため顧客Cを同乗さ
せている途中で、Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した(なお、事故についてはB
とDに過失がある。)場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しい
ものはどれか。

l Aは、Cに対して事故によって受けたCの損害の全額を賠償した。この場合、Aは、Bと
Dの過失割合に従って、Dに対して求償権を行使することができる。

解答〇判例は「使用者は、被用者と第三者との共同過失によって惹起された交通事故によ
る損害を賠償したときは、第三者に対し、求償権を行使することができる。この場合にお
ける第三者の負担部分は、共同不法行為者である被用者と第三者との過失の割合にしたが
って定められるべきである。」としている。(最判昭和41年11月18日)

2 Aは、Dに対して事故によって受けたDの損害の全額を賠償した。この場合、Aは、被用
者であるBに対して求償権を行使することはできない。

解答×民法715条3項によりAは、被用者であるBに対して求償権を行使することができる。
民法715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第
三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の
監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったと
きは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

3 事故によって損害を受けたCは、AとBに対して損害賠償を請求することはできるが、D
に対して損害賠償を請求することはできない。

解答×数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損
害を賠償する責任を負う。(民法719条1項)
したがって事故によって損害を受けたCは、当然、共同不法行為者の一人であるDに対して
も損害賠償を請求することができる。

4 事故によって損害を受けたDは、Aに対して損害賠償を請求することはできるが、Bに対
して損害賠償を請求することはできない。

解答×被害者Dは不法行為についての使用者責任が成立する場合であっても直接の加害者
であるBに対して損害賠償請求することもできる。