Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建
物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物をさらにCに賃貸(転貸)した。この場合に関する次の記
述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

l BがAに無断で甲建物をCに転貸した場合には、転貸の事情のいかんにかかわらず、Aは
AB間の賃貸借契約を解除することができる。

解答×判例によると「賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益を
なさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない
特段の事情があるときは、賃貸人は民法第六一二条第二項により契約を解除することはで
きない。」とされています。
民法612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を
転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸
人は、契約の解除をすることができる。

2 Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合
であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建
物の明渡しを請求することができない。

解答×判例によると「賃貸借が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、
賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求
した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する。」とされている。
したがって、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができるということになる。

3 AB間の賃貸借契約が期間満了で終了する場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物を
Cに転貸しているときには、BのCに対する解約の申入れについて正当な事由がない限り、
AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。

解答×原賃貸借契約が期間満了で終了することによって、転貸借契約は当然に終了します。
したがって転貸人の転借人に対する正当な事由のある解約申入れなどなくても賃貸人は転
借人に対して転貸借の目的となっている建物の明渡しを請求することができます。

4 AB間の賃貸借契約に賃料の改定について特約がある場合には、経済事情の変動によって
BのAに対する賃料が不相当となっても、BはAに対して借地借家法第32条第1項に基づく賃料
の減額請求をすることはできない。

解答〇定期建物賃貸借契約では、賃料増額請求権・賃料減額請求権共に特約で排除するこ
とができる。(借地借家法38条7項)