Aは、B所有の建物に抵当権を設定し、その旨の
登記をした。
Bは、その抵当権設定登記後に、この建物をCに
賃貸した。
Cは、この契約時に、賃料の6ヵ月分相当額の
300万円の敷金を預託した。この場合、民法の
規定及び判例によれば、次の記述のうち正しい
ものはどれか。

 

1 Bが、BのCに対する将来にわたる賃料債権
を第三者に譲渡し、対抗要件を備えた後は、Cが
当該第三者に弁済する前であっても、Aは、
物上代位権を行使して当該賃料債権を
差し押さえることはできない。

 

解答×平成10年01月30日付最高裁判例によると
「抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され
第三者に対する対抗要件が備えられた後に
おいても、自ら目的債権を差し押さえて
物上代位権を行使することができる。」とされる。
よって本肢のAは、物上代位権を行使して
当該賃料債権を差し押さえることができる。

 

2 Bの一般債権者であるDが、BのCに対する
賃料債権を差し押さえ、その命令がCに
送達された後は、Cが弁済する前であっても、
Aは、物上代位権を行使して当該賃料債権を
差し押さえることはできない。

 

解答×一般債権者が、抵当権の目的物の賃料債権
を差し押さえ、その命令が第三債務者に
送達された後でも、第三債務者が弁済する前
であれば、抵当権者は、物上代位権を行使して
当該賃料債権を差し押さえることができる。
また平成10年03月26日付最高裁判例によると
「債権について一般債権者の差押えと抵当権者の
物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、
両者の優劣は、一般債権者の申立てによる
差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記
の先後によって決すべきである。」とされるので
本肢の場合、抵当権設定登記が先であるから、
抵当権者Aが優先されることになる。

 

3 Aが物上代位権を行使して、BのCに対する
賃料債権を差し押さえた後は、Cは、Aの
抵当権設定登記前からBに対して有している
弁済期の到来している貸付金債権と当該賃料債権
とを相殺することはできない。

 

解答×平成13年03月13日付最高裁判例によると
「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の
差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、
抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した
債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、
抵当権者に対抗することはできない。」とされる。
しかし、抵当権設定登記の前に賃貸人に対して
取得した債権を自働債権とする相殺はできる。

 

4 Aが物上代位権を行使して、BのCに対する
賃料債権を差し押さえた後、賃貸借契約が終了し
建物を明け渡した場合、Aは、当該賃料債権に
ついて敷金が充当される限度において物上代位権
を行使することはできない。

 

解答○平成14年03月28日付最高裁判例によると
「敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権に
つき抵当権者が物上代位権を行使してこれを
差し押さえた場合において、当該賃貸借契約が
終了し、目的物が明け渡されたときは、
賃料債権は、敷金の充当によりその限度で
消滅する。」とされる。
結果として本肢のAは、当該賃料債権について
敷金が充当される限度において物上代位権を行使
することはできないことになる。

 

 

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